離婚給付について
「離婚給付について」弁 護 士 露 木 肇 子第1、離婚給付とは 離婚の際に支払われる慰謝料や財産分与のことです。広義に
弁 護 士 露 木 肇 子
第1、離婚給付とは
離婚の際に支払われる慰謝料や財産分与のことです。広義には養育費の支払いや年金分割を含めることができます。
第2、慰謝料
婚姻破綻につき相手方に責任があり、そのために精神的苦痛を受けた場合は慰謝料を請求することができます。不貞行為や悪意の遺棄、暴力を受けた場合がこれにあたります。
金額は責任の大きさによって決まります。判例によると、身体的な暴力や不貞行為の場合、一般に200万円から500万円くらいが認められています。
離婚成立後に請求することもできますが、不法行為から3年で消滅時効にかかるので早めに請求した方がよいでしょう。証拠の準備も早めにしておくことが望まれます。暴力の場合の証拠は診断書・怪我の写真・日記等、不貞の場合の証拠は旅行の写真・ラブレター・メール・調査報告書等が効果的です。
第3、財産分与
婚姻中に夫婦で築いた財産は、離婚の際に清算することになります。現在の実務では、2分の1ルールといって、妻に収入がない場合でも、原則として半分に分けます。
分与の対象となるのは、不動産、動産、預貯金、株式、車、生命保険、退職金などです。
親からの贈与や相続によって得た財産は個人の特有財産であって、財産分与の対象にはなりません。
財産分与は離婚成立後でも請求できますが、2年以内に家庭裁判所に調停や審判を申立てなければなりません。
請求にあたっては、相手名義の財産資料を準備しておくことが望ましいです。少なくとも、勤務先名、不動産の所在地、取引銀行支店名、証券会社名、保険会社名がわかるとよいでしょう。
分与対象に住宅ローンつき不動産がある場合、分与額を算出するには、全体の財産の合計額からローン分を差し引き、残りを折半します。オーバーローンで財産全体がマイナスとなった場合は分与しないのが実際のやり方です。
将来確実に支給される退職金は分与の対象となり、その場合の評価は、別居時点で退職した場合の金額を基準にした例があります。
財産分与の算定基準時は一般に破綻時(別居時)ですが、不動産、株式等の資産価値の評価基準時は分与時となります。
妻が離婚後直ちに経済的自立をなし得ない場合は、夫に一定期間生活費を請求することができます。これを扶養的財産分与といいます。一般に財産分与や慰謝料額が低く、生活困難な場合に認められます。
第4、養育費
未成熟の子を、離婚後引き取った親は、相手方に対し、その収入に応じた養育費を請求することができます。現在は裁判所の作成した算定表によって金額が決められることが多いです。算定表はインターネットでみることができます。
算定表の横軸には権利者の年収が、縦軸には義務者の年収が記載してあって、それぞれの収入欄を伸ばして交差する欄の額が標準的な養育費の額となります。
算定のためには、源泉徴収票、課税証明書、確定申告書等、双方の年収額を証する書類が必要となります。
算定表は公立学校教育費を前提としていますが、私立学校教育費負担が相当と考えられる場合は加算があり得ます。
過去の養育費の請求は原則として認められません。また、養育費は毎月一定額を支払うのが原則であり、一括払いが認められるのは例外です。
通常は子が成人するまで請求できますが、合意によって大学卒業まで等支払期間を延長することもできます。
一度決めた養育費が将来不足するようになった場合は、増額のための調停をおこすことができます。同様に義務者の方が、失業等の理由により負担できなくなった場合は、減額のための調停をおこすことができます。
第5、年金分割
2007年4月1日から年金分割制度が施行されました。
分割の対象となるのは婚姻期間の保険料の納付記録であり、厚生年金と共済年金が分割の対象となります。この制度の適用となるのは2007年4月1日以降の離婚です。分割割合は、実務では原則2分の1です。
手続きとしては、まず社会保険事務所か共済組合で年金分割のための情報通知書を入手します。次に、年金分割の合意ができれば公正証書で、できなければ調停または審判を申し立てます。離婚裁判中であれば、附帯して年金分割についても申立てできます。
これらの手続で分割が決まれば、離婚から2年内に公正証書・調停調書・審判書・判決書のいずれかを提示して社会保険事務所等に分割請求します。
2008年4月1日以降の離婚については、同日以降の納付記録を、請求があれば当然に等分割する3号分割制度が始まりました。
第6、離婚給付の確保
調停・審判・裁判で離婚給付が定められたのに相手方が履行しない場合は、家庭裁判所に連絡して、相手方に履行勧告してもらうことができます。それでも履行しない場合は、相手方の給料等を強制執行することになります。
以上、離婚給付については、財産分与額の算出等、難しい問題が多々ありますので、お近くの法律相談をご利用下さい。