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裁判手続きについて

Q&A

民事裁判手続きの流れについて説明してください。

原告が訴状を裁判所に提出すると、民事訴訟の手続きが始まります。
最初の裁判手続きと判決は法廷で行われますが、その他の手続きは法廷ではない会議室のような場所で行われることも多いです。
裁判手続きは、だいたい月1回程度の頻度で行われ、裁判官が当事者の言い分(主張)を読み聞きしたり、証拠を調べたりします。
そして、裁判官が当事者の主張を十分に聞き取り、証拠も調べ、判決による解決もやむなしと判断すると、判決が言い渡されます。

訴状はどの裁判所に提出してもよいのですか。

民事訴訟は、事件の内容によって決められた裁判所で行われなければなりません。したがって、訴状は、どの裁判所に提出しても良いというものではなく、決められた裁判所に提出しなければなりません。
原則は、被告の住所によって訴状を提出する裁判所が決まります。これを、「被告の住所地を管轄する裁判所」などと言います。しかし、金銭の支払い請求であれば、自分(原告)の住所地を管轄する裁判所に訴えを提起できることもありますし、不動産関係の裁判であれば、その不動産の所在地を管轄する裁判所に訴えを提起することもできます。
どこの裁判所に訴状を提出するべきか分からなければ、弁護士に相談すると良いでしょう。

訴えられました。裁判所には出頭しなければなりませんか。

民事訴訟では、必ず手続きが行われる日に裁判所に出頭しなければならないのが原則です。
しかし、弁護士を選任して出頭してもらえば、自分で裁判所に出頭する必要はありません。
また、第1回口頭弁論である最初の裁判所の手続きは、出頭しなくても良いとされています。ただし、訴状に対する回答である、答弁書を事前に提出しておかなければ、欠席裁判になって、相手の言い分が認められてしまうこともありますので注意してください。

いちど裁判になると、話合いでの解決はできませんか。

民事訴訟は、相手との争いを和解で解決することもできます。
裁判手続きの中で行われる和解を、とくに裁判上の和解と呼びます。相手方が和解条項どおりの金銭を支払わないときなどは、強制執行ができる余地もあります。
裁判になっても、裁判所外で和解することもできます。ただし、この場合に和解が成立しても、当然に裁判が終了するものではないので、和解条項の中で、現在行われている裁判をどうするか決めておく必要があります。また、裁判所外の和解では、相手方が和解条項を守らない場合に、強制執行できるということはありません。

判決内容に不服があるのですが、どうしたらよいですか。

最初の判決(第一審判決)に納得ができない場合は、控訴という手続きを使います。その控訴した先の裁判所の判決に納得できない場合は、上告という手続きを使います。ただし、上告の場合は、判決内容に憲法違反があるなどの特別の理由がなければ受理されません。

少額訴訟という手続きがあると聞きましたが、どのような手続きですか。

60万円以下の金銭請求の場合、少額訴訟という手続きを使うことができます。
訴え提起の際に、簡易裁判所で、少額訴訟による審理及び裁判を求めると述べれば、この手続きを利用できます。ただし、被告が反対したときは、この手続きを使うことはできません。
少額訴訟の場合、すぐに取調べることができる証拠でなければ裁判所に提出できないなどの制限がありますが、原則として、1回の期日で手続きが終了します。

相手を訴えたい気持ちもありますが、できれば話し合いで解決したいです。

その場合、民事調停という手続きがあります。
民事調停は、裁判所で、第三者である調停委員を介して、相手方との問題を話合いで解決する手続きです。
しかし、民事調停は、民事訴訟のように、話合いがまとまらなかったときに判決を言い渡してもらうということができません。ですから、相手方との話合いがまとまる余地があるケースで利用すると良いでしょう。

貸金請求で勝訴判決を得ましたが、相手方が判決どおりの支払いをしてくれません。

その場合は、強制執行を申し立てることになります。
強制執行は、相手方の財産を差し押さえてほしい旨を申し立てて行います。ですから、強制執行を申し立てる際には、事前に、相手方の財産を調査しておく必要があります。
強制執行をしても判決通りの支払いを得られなかったときは、民事執行法に基づき、財産開示手続きを行うことができます。財産開示手続きでは、相手方は出頭して自己の財産を開示しなければならず、 正当な理由なく裁判所に出頭しなかったり、財産を開示しなかったりした場合は、30万円以下の過料となります。

相手方は資金繰りに窮しているようであり、民事訴訟に長期間かけて、判決がでるのを待っていては、強制執行ができなくなるおそれがあります。

強制執行は、相手方に財産がある限り,効果があります。
しかし、相手方の資産は日々変化するのに、民事訴訟は時間がかかるので、判決がでる頃には相手方は無資力になっていて、強制執行ができなくなるおそれもあります。
そのような場合に備えて、訴えを提起する前に、相手方の財産の仮差押えや仮処分を行う手続きがあります。これは,あくまで判決がでるまでの「仮」の差押えであり、処分ですが、判決がでるまでの間、相手方の資産を動かせなくする効果があります。これを、「保全」と呼んでいます。
事前にどのような保全をしておくかは、訴えの内容によって異なります。詳細は、弁護士にご相談ください。