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遺言・相続のご相談

家族が亡くなって相続手続きをする必要がある場合や、
自分が元気なうちに遺言書を作成したい
と考えている場合にご利用いただく法律相談です。



こんな時にはご相談ください。

  • 遺言書をつくって相続に備えたいが、どうやって遺言をつくったらよいか不安がある。
  • 遺産の分け方を、どうやって決めればよいか分からない。
  • 遺産の分け方を決めたいけれど、相続人のなかに行方不明や認知症で話し合いができない人がいて困っている。

相談先のご案内

法律相談センター

東京三弁護士会多摩支部が運営する法律相談センターでの法律相談です。

相談内容によっては、以下の専門相談もご利用可能です。

高齢者・障害者

Q&A

相続の流れについて教えてください

ごくおおまかに説明すると次のとおりです(細かな点は省略しています)。
まず、有効な遺言書があれば、原則として、遺産の分け方は遺言書にしたがうことになります。ただし、遺言書によった場合に、自分の遺留分よりも少ない財産しかもらえない相続人には、遺留分侵害額請求権という権利が認められます。
遺言書がない場合には、相続人全員が話し合って遺産の分け方を決めます。この話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。
話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の調停で分け方を話し合うこともできます。それでもまとまらなければ審判という裁判所の決定で分けられることになります。
法定相続人が複数いる場合の、各相続人が遺産をもらえる割合(法定相続分)は、法律で定められています。たとえば妻と子ども達が相続人の場合には、妻が2分の1、子ども達が2分の1です。
審判で分けるときにはこの法定相続分を基準として分けられますが、話し合いや調停で分けるときには法定相続分とは異なる配分で分けることも差支えありません。

法定相続人について教えてください

法定相続人とは、民法で相続する権利が認められている人をいいます。
亡くなった方に配偶者(夫や妻)がいれば、その配偶者は必ず法定相続人となります。 配偶者以外の相続人については、次のとおり順位があります。アが誰もいなければイが法定相続人となり、イにあたる人が誰もいなければウの人が法定相続人となるわけです。

  • ア 子とその代襲相続人(子には養子が含まれます。代襲相続については、次項で説明します)
  • イ 直系尊属(亡くなった方の父母、祖父母のことです)
  • ウ 兄弟姉妹とその代襲相続人
    法定相続人は上記の人に限られ、それ以外の人は法定相続人にはなりません。

具体例で説明すると次のとおりです。
たとえば亡くなった方に、妻と子どもがいれば、妻と子どもが相続人となり、亡くなった方の親や兄弟姉妹が存命でもこれらの人は相続人とはなりません。
亡くなった方に、妻はいて、子どもはいないという場合で、亡くなった方の母親が存命の場合は、妻と母親が相続人となります。亡くなった方に兄弟姉妹がいても相続人にはなりません。
兄弟姉妹が相続人となるのは、亡くなった方に子どもがおらず、親も祖父母も亡くなっているという場合になります。

代襲相続とは何ですか

たとえば、祖父A、父B、子Cの3世代がある場合に、Aが死亡すれば、その子であるBが法定相続人となります。もし、BがAの死亡以前に死亡した場合には、Bに代わってCが法定相続人となります。これを代襲相続と言います。仮に、Aの死亡以前にBもCも死亡していて、Cの子であるD(=Aのひ孫)がいるという場合にはDが相続します。これを再代襲相続といいます。
このほか、兄弟姉妹が法定相続人となる場合にも代襲相続の制度があります。たとえば、PとQの兄弟がいたとして、QがPの法定相続人である場合に(上記2を参照)、Pの死亡以前にQが死亡したときには、Qの子R(つまりPの甥)がいればRが法定相続人となります。ただ、兄弟姉妹の場合には再代襲相続はありません。
代襲の原因としては、相続以前の死亡のほかに、相続欠格(被相続人を殺したり、被相続人をだまして遺言書を書かせたりしたような場合には相続権を失います)、または、相続廃除(被相続人に対する虐待や重大な侮辱その他著しい非行がある場合に、被相続人の請求によって家庭裁判所が審判または調停によって相続権を失わせる場合です)があります。

なお、相続人が相続放棄をした場合に、その子が代襲相続するということにはなりません。

遺産の分け方を決める手続きについて教えてください

相続人が一人ではなく複数いる場合には、遺産の分け方を相続人全員の話し合いによって決めます。話し合いで分け方が決まった場合には、遺産分割協議書という書類を全員で作成し、その書類を示して不動産の登記の変更や銀行預金の払戻しなどを行います。
話がまとまらないときには、相続人が家庭裁判所に遺産分割調停の申立をして、調停委員を交えて相続人全員で話し合いをして、分け方を決めることができます。調停のなかで相続人全員が合意して分け方が決まったら、その内容については、裁判所が調停調書という書類にします。その調書で不動産の登記の変更や銀行預金の払戻しなどを行うことになりますので、遺産分割協議書を改めて作成する必要はありません。
調停での話し合いがまとまらないときは、審判という手続きによって、裁判所が分け方を決めることになります。

特別受益とはどのようなものですか

亡くなった方から特別に利益を受けた相続人と、利益を受けていない相続人がいた場合に、その不公平を調整する制度です。
婚姻または養子縁組のために被相続人から贈与を受けた場合、生計の資本として被相続人から贈与を受けた場合、または被相続人から遺贈(遺言によって財産を与えること)を受けた場合が問題となります。
たとえば、相続人の中に、商売をするために高額な資金を被相続人から出してもらった人がいるような場合に、それが特別受益にあたれば、遺産の分け方を考える際に、その分を調整して、資金をもらっていない相続人との間で不公平にならないような計算をします。
結婚の場合の持参金がよく例として挙げられますが、特別受益にあたるか否かは被相続人の資産や家庭事情によって異なります。新築祝いなども親としての通常の援助の範囲内であれば特別受益にはなりません。このように何が特別受益にあたるかについては難しい問題がありますので弁護士とよく相談してください。

夫の仕事を手伝い夫が病気になってからは療養看護につとめてきました。相続に際してこのような事情は考慮されますか(寄与分)

家業を長年手伝い、あるいは、療養看護その他の方法によって、被相続人の財産の維持や増加について特別の寄与をした者があるときには、その分を寄与分として相続財産から控除したものを相続財産とみなして、相続財産が計算されます。
寄与分については、共同相続人の協議によって決めることができますが、寄与をした者が家庭裁判所に請求をして決めてもらうこともできます。
寄与分にあたるか否かについては難しい問題がありますので弁護士とよく相談してください。

遺言書の作り方を教えてください

遺言書の作成方法には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言など法律に定めがあります。いずれの遺言も法律が定めた方式で作らないと無効となりますので注意が必要です。
自筆証書遺言は、遺言をする者が、その全文、日付、氏名を自書し、これを押印する必要があります。ただし、遺言に添付する財産目録は、各ページに署名押印があれば自筆でなくても大丈夫です。
公正証書遺言は、公証人役場で作成するものです。証人として2人が必要ですが、公証人に相談すれば、証人を紹介してもらうこともできます。

遺言書を書き替えることはできますか

遺言書を新たに作成すれば、新しい遺言書が有効となります(前の遺言と客観的に抵触する内容の遺言が後でなされたときは、民法1023条1項によって、抵触する部分については撤回されたものとみなされます)。

遺言書の検認とは何をするのですか。どういう意味がありますか

遺言書は家庭裁判所で検認の手続が必要です。検認とは、裁判所で遺言書を開封して記載内容を確認し、記録する手続きです。検認時点での遺言書の内容を裁判所で記録しておくことで、遺言書の変造や隠匿を防止することが検認の目的です。公正証書遺言や保管制度を利用した自筆証書遺言は、公証人役場や法務局に遺言書が保管されていますので、検認は不要です。
遺言書の保管者は、相続開始を知ったときは遅滞なく家庭裁判所に検認の請求をする必要があります。相続人が遺言書を発見したときも同様です。
なお、遺言書に封がある場合には開封は家庭裁判所で行われます。検認をしないで遺言を執行しあるいは遺言書の開封をした者は5万円以下の過料(行政上の罰)と規定されていますので開封しないよう注意してください。

遺留分について教えてください。また、遺留分侵害額請求権はいつまでに行使しなければなりませんか

被相続人は贈与や遺言によって自分の財産を処分できますが、相続人に一定の権利を確保して保護をするための制度が遺留分制度です。

兄弟姉妹を除く法定相続人には遺留分が認められています。 遺留分の割合(遺留分率)については、直系尊属のみが相続人となるときは被相続人の財産の3分の1、その他の場合には被相続人の財産の2分の1とされています。

遺留分侵害額請求権は、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年内に権利行使しないと消滅してしまいます。相続開始から10年が経過したときも同様です。期限内に権利行使をした証拠を残すため、遺留分侵害額請求権を行使する方法として、配達証明つきの内容証明郵便を利用することが一般的です

死亡した父が多額の負債を抱えていたことがわかりました。どのようにしたらよいでしょうか

相続放棄や限定承認という方法があります。いずれも自分が相続人となったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。この3か月という期間(熟慮期間といいます)は請求によって伸長されることもありえますが、それはあくまで例外ですので、期間にはご注意ください。

相続放棄をした場合、はじめから相続人とならなかったものとみなされます。ですから、負債を相続することはなくなり、あなたが返済をする必要はなくなります。ただし、相続人ではなくなるので、亡くなった父親の預貯金や不動産などの価値がある財産も相続しないことになりますので、注意してください。
また、たとえば子どものみが法定相続人である場合に、子ども全員が相続放棄をすると、次順位の直系尊属(あなたからみて父方の祖父母)が相続人となり、負債を相続することとなります。それは困るということで、直系尊属が相続放棄すると、今度は、あなたのお父さんの兄弟姉妹が次順位の相続人となり負債を相続することになります。このように玉突き現象が生じますので、ご心配があるときは、弁護士にご相談ください。